《神龙句集》汉俳译本

万宽

《神龙句集》汉俳译本
作者：夏泰治。  译者：唐九藏。
（一）
春日の万燈をまき散らした空
春至天亮早
日如万灯齐照耀
蓝天白云飘
（二）
千里の駒が馬蹄う幻れ氷
良驹千里马
蹄似幻影冰上踏
泉流寒冰下
（三）
雪明り嫦娥のウサギが走る
明月如雪晶
恍见嫦娥携兔行
疾似风无影
（四）
詩箋を手に持った狐の妖
诗笺拿在手
犹似狐仙伴我游
美丽又温柔
（五）
手紙に桜花の三五輪
拆开信封看
寄来樱花三五瓣
有情人心暖
（六）
一别の渡し場の吾が柳
一别在渡口
客舍青青没烟柳
三步一回头
（七）
秋の夜の銀漢一筋は太刀か
秋夜看银河
翰河一线何浩阔
天神长刀落
（八）
水月三千個もあれば化身
明月虽一个
千江有水千江月
化身却无数
（九）
高山流水一曲天下の知音の琴始
高山长流水
此曲一抚恸心扉
知音闻声醉
（十）
珊瑚と去年今年赤い涙
今年复去年
犹似红珊积沉岩
一思泪如泉
（十一）
小刺客は海胆を怒ひけり
海胆貌似弱
却是海中小刺客
一怒勇气多
（十二）
目の縁の明き愁う古硯
外表虽光鲜
却有烦恼在心间
忧伤似古砚
（十三）
白蛇や抜く殻冢原卜传の刀
白蛇游荒郊
犹似出鞘无影刀
是仙还是妖？
（十四）
生ビールより白蟻の湧き上る
生啤一打开
万朵白沫涌上来
仿佛闹蚁灾
（十五）
廃電池の底の細流や春深し
废旧电池里
仍有电流涓涓细
似有回春机
（十六）
獅子くぐり金の輪は太陽
骄阳似火烧
犹如狮子正咆哮
却被金环套
（十七）
尺八や一寸の竜が鳴く
何人弄悲箫
好似龙吟起渊涛
声声惹人恼
（十八）
寒蟬抜く蟬殻は黄金の屋
秋蝉褪薄蜕
抛却金屋给谁睡？
空被冷风摧
（十九）
美人の掌心の痣や小豆生む
美人掌中痣
犹如红豆挂嫩枝
让人起相思
（二十）
春光むかし屏風の金泥
家中屏风旧
春光一到披锦绣
新景看不够
（二十一）
松の実して若緑の佛髻頂はす
松果鲜翠绿
形似佛顶螺发髻
让人心欢喜
（二十二）
蟹殻を堅よく棚上げ休戦日
甲胄修坚实
常置架上无缘使
天天太平日
（二十三）
飛行機聞く筆跡の過き紙に
听见飞机声
犹如雁过了无痕
笔过笺寂静
（二十四）
真珠一千万斗や春の雨
春雨从天落
犹如珍珠千万颗
入地找不着
（二十五）
鱼腹のように白い天の川
仰看天河上
好像鱼腹泛白光
宇宙何苍茫
（二十六）
地球儀一人残らず
端详地球仪
三山六水无人迹
阒然少生机
（二十七）
北へ北へ手紙読ちけり雁の字
雁成人字行
渐行渐远逝北方
如信读后藏
（二十八）
浅蜊の舌や秘め事
浅蜊栖泥底
潜砂而行匿踪迹
隐者当效习
（二十九）
明日葉や昔の己の姿を見る
欲知明天样
回首过往细思量
大致相佛仿
（三十）
春に後身帰る
年年有新春
今身却非去岁身
犹似转世人
（三十一）
露の珠これはダイヤモンドですか
露珠映晨光
仿佛钻石闪闪亮
悦目人心爽
（三十二）
一時に蛙の子も垢が抜ける
一旦时辰到
蝌蚪就变青蛙跳
莫要小瞧了
（三十三）
かたつむりの後ろに銀河があります
蜗牛刚爬过
一道涎痕萤光烁
多像灿银河
（三十四）
枯山水は山水より寒い
冬来草木枯
青山绿水英姿无
岁寒心凄楚
（三十五）
ハエは仏前で合掌する
众生皆有情
佛前苍蝇也修行
合掌拜不停
（三十六）
蟷螂は枯れても鋭いのこぎり
螳螂真武士
死亦不失英雄姿
双刀仍举刺
（三十七）
鮎の子や美髯を揺り動かす
鲇苗虽年少
也将美髯摇呀摇
模样很老道
（三十八）
寄居虫屋は故人か
虽寄人篱下
蜗居住久也似家
伴我度生涯
（三十九）
春川やちりめんの皺が寄る
春风漾粼波
犹如皱绸漂清河
且等莺飞过
（四十）
枯木も忘れ年輪
枯树一逢春
也想忘记旧年轮
再发新绿荫
（四十一）
桃花や美人の映り春の水
美人倚桃花
影映春水似朝霞
嫣红洇霓纱
（四十二）
どんなに涼しいわが影
孤影对寒潭
一阵凉意涌心间
夕阳山外山
（四十三）
玉柳や髪を湖辺に掻く
谁人解发辫
春色青青拂人面
湖畔玉柳烟
（四十四）
夜がスクリーンにメール忘れけり
整晚迷上网
对着荧屏敲键忙
忘记理邮箱
   
（四十五）
球がポケットに入る夕陽かな
薄暮夕阳坠
一轮金球入地陲
百鸟向林归
（四十六）
一つ一つのイチゴや心が通う
鲜嫩小草莓
颗颗心形何甜美
似能通心扉
（四十七）
電池の内の電流や春深し
电池真蹊跷
犹似春深难探晓
储电知多少？
（四十八）
ポートワインをストローに吸う蚊か
端起葡萄酒
插入麦管吸一口
真像蚊子哦！
（四十九）
君の成功を祈るハスキーかな
为你做祷告
嗓音沙哑舌干燥
静等传捷报
（五十）
柳の枝や春鮒釣りする
岸边垂柳长
柳树好似钓鱼郎
鲫鱼把钩上
（六十一）
この空山は春天で還俗し
山菜隐高崖
好似高僧修行家
春到还俗啦！
（六十二）
大空や空や空や空や空や
抬眼望天空
空空空空复空空
空外还是空
（六十三）
地平線は一筋スタートラインや
远望地平线
极目之处横天边
众神起跑点？
  
（六十四）
細螺や美人の髪の碧の簪
细螺真妙曼
多像美人发髻旋
尾似碧玉簪
（六十五）
人も見ぬ蘭の花や空の谷
空谷生幽兰
遗世独隐密崖间
俗人怎得见？
  
（六十六）
「蘭亭序」のその細き鼠の須
右军兰亭序
韵如流水墨如玉
或用鼠须笔？
（六十七）
麦畑や黑蟻がタイルを這う
火过麦茬田
烬如黑蚁爬瓷砖
此景鲜得见
（六十八）
茶杓や竿は岸につっ軽舟
茶杓置壶边
犹如轻舟依河岸
伸出钓鱼竿
（六十九）
龍天に昇る上げ花火かな
焰火夜空闪
仿佛神蟒升龙天
苍穹何灿烂
（七十）
竹の皮脱ぐ竜宮の柱立つ
竹子脱去皮
能作龙宫玉柱立
仙凡隔层衣
（七十一）
冷奴を月世界こ食べるか
炎夏在月球
吃上一碟凉豆腐
吴刚也嫉妒
（七十二）
銀に輝く峰々は万馬の如し
飞雪落群山
座座山峰银辉闪
犹似万马欢
（七十三）
聳える玉峰は中指の如し
玉峰傲群山
仿佛一指问苍天
大美何须言
（七十四）
赤蜻蛉や青蜻蛉の上に
蜻蜓舞晚霞
青蜻翩翩如纷花
红蜻更胜它
（七十五）
光を収束するや秋扇開
秋来暑气减
蒲扇收起秋扇展
画扇舞翩跹
（七十六）
月の魂が水に浮かぶ
水月镜中花
月魂如魅惑渔家
波粼扁舟下
（七十七）
鳳凰の周りに百千鳥の集まり
凤凰集山岗
百鸟飞来问吉祥
齐拜鸟中王
（七十八）
米つぶは蟻の道へ移動中
米粒蠢蠢动
俯见众蚁搬运工
协力往家弄
（七十九）
黑蟻の列車に上る快哉
黑蚁常群迁
犹如列车首尾连
快哉越荒原
（八十）
てのひらに錦を載せるプリズムかな
命运多变幻
犹似棱镜七彩炫
翻手覆手间
（八十一）
黄河や吾の血筋の中の龍
黄河沃中原
与我血脉紧相连
神龙舞九天
  
（八十二）
太陽は万物の電池の如し
太阳何灿烂
犹似万物总电源
照彻天地间
（八十三）
長城は一筋の眠れる龍や
长城万里长
一条巨龙卧北疆
胡马空怅惘
（八十四）
八百匹の馬江に湧く観潮かな
大潮势接天
八百骏马腾阵前
倒海欲浮山
（八十五）
マッチの燃えさしあれの紅帽は
火柴一擦燃
夭夭光华一瞬间
烬灭红帽残
（八十六）
遅き日の長い川もみの如し
长河落日圆
残阳映水似赤绢
大漠起孤烟
  
（八十七）
古松に万片淋し老龍鱗
古松抱孤寒
身披铁甲屹南山
万片龙鳞坚
（八十八）
枯れ芭蕉や古い手紙を焼く
秋雨暗萧萧
芭蕉叶枯声寂寥
情如旧笺烧
（八十九）
玉川や吾が腰に帯をしめる
长河碧连天
愿作地祇长相眷
玉带缠莽原
（九十）
青や山へなり河へなり行く
仁者爱青山
翠峰长映碧水间
相看两不厌
（九十一）
大地に印をつける青の田
大地如画廊
万物栩栩绘其上
禾田乃印章
（九十二）
蟹のはさみが空へ伸す投降か
螃蟹举双钳
耀武扬威伸向天
却似降姿现
（九十三）
小豆粥に熱い涙や紅燭
看见赤豆粥
忽忆红烛热泪流
相思让人愁
（九十四）
風有り月有り不眠夜や
床前明月光
清风徐来探眠房
却难入梦乡
（九十五）
一瓢や川の水の流れが続く
一壶糙米酒
一江春水向东流
一醉解千愁
（九十六）
退屈でしかたがない歳暮哉
岁暮人寂寥
几许闲愁洇眉梢
切盼春来早
（九十七）
環食や上帝の金の指輸
仰观日环食
好似上帝金戒指
奇景美如诗
（九十八）
夏木立の昇天の気ありけり
夏树繁荫长
满架蔷盛一院香
心静自然凉
（九十九）
竜が金鱗上の換え菊かな
锦鲤游浅底
待将金鳞换金菊
化龙九天去
（一百）
有明や一瓢の春の夜の水
一觥一壶酒
一江春水一孤舟
一人饮一宿
（一百零一）
青竜は雲の峰に絡みつく
青龙绕云峰
松壑烟岚翩若鸿
凤鸣梧林中
（一百零二）
夕立や目下に千峰は小さい
骤雨荒风吼
乌云泼墨写苍狗
峰渺岚烟后
（一百零三）
玉人や春駒の左目に入る
春驹龙骨骏
踏花归来马蹄馨
左瞳映玉人
（一百零四）
蜂王宫に金屋の八百軒
蜂王宫虽小
金屋八百任逍遥
蜂勤春来早
（一百零五）
玉波が逆巻く竜の涼しさよ
碧波滕浪高
潜龙在渊幽都好
清凉自逍遥
（一百零六）
相撲草の葉に置く露相撲かな
相扑草叶上
夜露凝珠闪闪亮
也想赛一场？
  
（一百零七）
栓ぬくよ蛇の舌まで酒浸し
拔掉酒瓶栓
隔壁三家口流涎
闻香蛇也欢
（一百零八）
秋高し飛行機の爆音を聞く
秋高心气爽
万籁如歌声音清亮
飞机嗡嗡唱
（一百零九）
断橋に朦朧と影よ蛇衣
秀木映断桥
疏雨落花丽人姣
裙比蛇衣俏
（一百一十）
竜々の気の大きいよ雲の海
杳冥云海间
长风万里白浪翻
莫非群龙现？
（一百一十一）
夜濯ぎの珠ゆっくりと浮かぶ
夜凉如秋水
洗却明月生清辉
流萤浮馨蕊
（一百一十二）
蕪村忌や陶淵明の後ろ姿
芜村之忌日
读罢芜村读陶诗
古树发新枝
（一百一十三）
蕪村忌や濡れ影は陶淵明
东篱菊谁栽
陶园菊香逸四海
芜村常来采
（一百一十五）
花吹雪舟の旅人は窓開く
落樱如飞雪
舟中旅人春衫薄
开窗迎几朵
（一百一十六）
淡い墨を筆につける雲の峰
笔枯墨色淡
铺将生宣画青山
峰出白云端
（一百一十七）
彩雲に竜と鳳凰化けたり
寿松屹南山
龙飞凤舞彩云端
祥地出甘泉
（一百一十八）
万松嶺鶴歩く見よ朧月
万松岭上行
鹤步阶前踏清影
胧月落纱轻
（一百一十九）
枯荷や万柄の戦音を聞く
霜重秋阴冷
留得枯荷听雨声
铁骑刀枪鸣
（一百二十）
名月や大珠が西湖に浮かぶ
浮空月正明
西湖凝淡映波清
悠悠故人情